メカの塊

妖しげに光る歯車。ぎっしりと詰まった部品。

裏から見ても歯車やバネ、そして幾多のリンク。これは一体何でしょう。

正解はこちら。カメラがお好きな方ならおわかりのことと思います。そう、縦走りのフォーカルプレーンシャッターです。名称は「コパルスクエア」。コパルがカメラメーカーに供給し始めた1960年当時の名称は「コパルスケヤ」。

これは初期のフルメカ仕様のものです。バルブ(B)、1秒から1/1,000秒まで全速メカ制御です。前回ニコイチで修復したNikomat FTnの残骸のひとつ。こういうメカの塊になぜかシビレます。

コパルのオリジナルだとずっと思っていたのですが、調べてみたら基本原理の発明者は別にいました。茶谷薫寿(ちゃたにくんじゅ)という方です。フィルム自動現像機などを製造販売していたエフシー製作所の創業者。文系のご出身にもかかわらず無類のメカ好きで、正規教育を受けた技術者では発想できないシャッターを生み出したのだとか。

数々の特許を取得した後、量産をコパルに委託したのだそうです。後にコパルが独自に実用新案を取得して茶谷に特許料を支払わなくなり、10年もの長きに渡って法廷で争い、最後は小メーカーの体力負け。エフシー製作所の方は、その後超高速自動現像機などで業績を伸ばしたようですが、リーマンショックのあおりで2010年に自己破産してしまったようです。

半世紀以上昔に作られたメカシャッターは私の机上の置物に加わりました。


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